徳川美術館、重文指定予定の菊白露蒔絵婚礼調度を特別公開へ 初公開の小箱も展示
名古屋市東区の徳川美術館が所蔵する「菊白露蒔絵婚礼調度」が、2026年秋に重要文化財の指定を受ける予定となった。これを記念し、同館では2026年9月15日から11月13日まで特別公開が開催される。あわせて、一連の調度の一部とみられる個人蔵の小箱1合が初公開され、同館所蔵の4件とともに展示される。
重要文化財指定の4件と個人蔵の小箱を公開




今回、重要文化財に指定される予定の「菊白露蒔絵婚礼調度」は、徳川美術館が所蔵する文台1基、香盆1枚、櫛箱1合、小箱4合の計4件である。同調度は、2026年3月の文化審議会答申を経て指定される見込みとなっている。

尾張徳川家に伝来したこれらの調度のほか、一連の作品の一部とみられる作例が国内外で確認されている。今回の重要文化財指定を契機に情報が寄せられた個人蔵の「菊白露蒔絵小箱」1合が、所蔵者の厚意により同館で初めて公開される。
徳川家光の養女・大姫のために製作された婚礼調度
「菊白露蒔絵婚礼調度」は、江戸幕府3代将軍・徳川家光の養女として加賀前田家4代の前田光高に嫁いだ大姫(清泰院)の婚礼調度である。大姫は水戸徳川家初代・徳川頼房の娘として生まれ、寛永8年(1631年)に家光の養女となり、寛永10年(1633年)に数え7歳で前田光高と婚姻した。
記録によると、調度は寛永10年までに蒔絵師の幸阿弥長重によって製作されたと考えられている。製作者、所用者、製作年代が記録からたどれる稀有な作例とされ、寛永16年(1639年)に千代姫の婚礼調度として製作された国宝「初音の調度」に先行する作品として、江戸時代初期の大名婚礼文化や漆工芸を知る上で重要な位置を占めている。大姫が嫁いだ加賀前田家から、義姉妹にあたる千代姫へ形見分けとして贈られたとみられ、尾張徳川家の台帳には「祖先伝来」と記録されている。
調度の意匠は、『新古今和歌集』に収められた藤原俊成の和歌「仙人の折る袖匂ふ菊の露 打払ふにも千代はへぬべし」に基づいている。
濃梨子地に高蒔絵や切金を用いて流水、岩、菊が表現され、菊の露に見立てた銀鋲が打たれている。「袖」は衣の袖、「払う」は扇の一種である中啓で表され、その他の言葉は葦手文字として文様の中に散らされており、絵柄から和歌を読み解く文学と工芸が一体となった意匠が特徴となっている。
特別公開の開催概要
特別公開「菊白露蒔絵婚礼調度」は、徳川美術館の名品コレクション展示(展示室5)で開催される。
- 会期:2026年9月15日(火)~11月13日(金)
- 会場:徳川美術館(愛知県名古屋市東区徳川町1017)
- 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)
- 観覧料:一般2,000円、高大生1,200円(※9月29日~10月7日は特別展未開催のため一般1,600円、高大生1,000円)

本記事は徳川美術館の発表をもとに作成。
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