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日立、宇宙からの3次元監視に向け構造化電波の高指向性放射技術を開発

日立製作所は、宇宙からインフラや災害を3次元監視する観測用の電波「構造化電波」について、広がりを抑えて所定の方向へ高い指向性で放射する技術を開発し、衛星搭載に向けた原理検証に成功しました。

この技術は、従来困難であった大気情報と地表物体の3次元分布の同時把握をめざすものです。電波強度を確保することで全天候・24時間の広域観測による変化の早期把握を可能にし、災害監視やインフラ管理における事後対応から予防・予知保全への転換支援を目的としています。

開発の背景と宇宙観測における課題

自然災害の激甚化や都市インフラの老朽化が進む中、鉄道や送電網、道路など広域にわたるインフラの状態を継続的に把握し、異常の兆候を早期に捉える重要性が高まっています。従来の地上点検やセンサー計測は個別設備の詳細把握に適しているものの、広域の継続把握には時間と人手がかかるため、宇宙からの効率的な観測技術が求められていました。

日立製作所は2025年8月に音波を用いた原理検証を行い、物体の形状や動きといった特徴を取得できる可能性を示していました。しかし、宇宙から高さ情報を含む3次元観測を行うには電波を十分な強度で地上に届ける必要があり、従来の円形アレイアンテナのみを用いる方式では電波が広がりやすく強度維持が難しいという課題がありました。

開発技術の特長と実験結果

今回開発された技術では、衛星観測への適用を見据え、渦状の位相構造を持つ構造化電波を高い指向性で放射する手法が確立されました。主な特長は以下の通りです。

  • 安定した構造化電波の生成:円形アレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子の位相を制御し、渦状の位相構造を安定して生成できることを確認しました。これにより高さ方向の情報に加え、物体の形状や動きを捉える高精度な観測への応用が期待されます。
  • オフセットパラボラアンテナを用いた宇宙用アンテナ構成:生成した構造化電波をオフセットパラボラアンテナで反射させることで、波面構造を維持したままビーム発散角を低減させました。周波数2.4GHzを使用した電磁界シミュレーションではビーム発散角を29度から6度へ低減し、電波暗室内での実験でも約6度となる結果を得て、地上観測に必要な電波強度確保の見通しを得ました。

今後の展望と展示予定

日立製作所は今後、屋外での構造化電波送受信技術の実証を進めるとともに、パートナー企業や大学・研究機関と連携して災害監視や社会インフラ管理への応用と社会実装を進める計画です。経営計画「Inspire 2027」に基づき、宇宙ビッグデータと社会インフラ・産業データ、AI解析技術を組み合わせたLumadaソリューションの具体化を進めます。

なお、本成果の一部は2026年9月3日から4日に開催される「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」の展示会場(EX56ブース)で紹介される予定です。

日立製作所の概要

日立製作所は、ITや制御・運用技術(OT)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業を展開しています。

  • 売上収益:10兆5,867億円(2025年度/2026年3月期)
  • 連結子会社数:606社(2026年3月末時点)
  • 従業員数:約29万人(全世界)

本記事は日立製作所の発表をもとに作成しました。

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