31都道府県でシングル向け賃料が上昇、石川・熊本で2桁伸び

不動産テック企業のいえらぶGROUPが、2023年4月と2024年4月の賃貸物件市場動向を分析した。全国31都道府県でシングル向け賃料が上昇し、特に石川県と熊本県では2桁の伸びを記録した。

石川県では2024年1月の能登半島地震の影響で、供給量の減少と復興支援事業のための転居需要増加が要因と推測される。熊本県では、台湾の半導体大手TSMCのファウンドリー建設による経済効果で地価が上昇し、賃料にも影響したとみられる。

TSMC以外にも、ラピダスが北海道千歳市、ロームグループが宮崎県国富町で半導体工場の建設を進めており、これらの地域でも賃料上昇の傾向がみられる。

一方、東京23区のファミリー向け賃料は前年比17.7%上昇の21.7万円となった。都心回帰の動きが表れており、副都心地区や城南地区、大阪中心6区での値上がりが目立つ。住宅価格高騰を背景に賃貸志向が高まっていることも要因の一つと考えられる。

いえらぶGROUPの庭山健一常務取締役は、「地震やインフラ整備・産業集積が地域の賃料に大きな影響を与えている。賃貸市場は複合的な要因で変化しており、多様な局面に対応できるよう不動産業者へのサポートに努めたい」とコメントしている。