日銀利上げで企業に打撃、経常利益2.1%減の試算

日本銀行は1月24日、政策金利を0.25%から0.5%に引き上げた。株式会社帝国データバンクの調査によると、企業の借入金利が0.25%上昇すると、1社当たり年間68万円の支払利息負担が増加し、経常利益を平均2.1%押し下げる試算となった。この結果、新たに1.8%の企業が経常赤字に転落する可能性があり、収益力の乏しい企業には厳しい局面となる。
帝国データバンクは、過去1年間に決算を迎えた企業で有利子負債を有する約9.6万社を対象に、借入金利の上昇に伴う支払利息への負担や、経常利益に与える影響について分析を行った。借入金利の上昇幅は、0.25%から最大2.00%のシナリオを想定して試算した。


業種別では、「不動産業」の受ける影響が最も大きく、借入金利が0.25%上昇した場合、利息負担は1社当たり平均で年間272万円の増加、経常利益ベースで平均5.5%押し下げられる試算となった。また、金利引き上げによって経常利益から赤字に転落する企業も3.8%を占めた。最も負担が小さいのは「建設業」で、利息負担は1社当たり平均で年間21万円の増加、経常利益では1.6%減の影響にとどまった。
今回の利上げに伴う影響度調査で、小幅な金利上昇に対して一定程度の耐性を獲得する企業も多いが、短期間で金利上昇幅の合計が1.00%に達した場合、新たに赤字へ転落する企業は0.25%の上昇の場合に比べて3.7倍に増加することが見込まれる。
日銀が公表した2024年11月の貸出約定平均金利は、国内銀行の新規貸し出しで0.868%となり、「超低金利の世界」から「金利のある世界」への転換が着実に進んでいる。既に金利上昇に備えて資金を前倒しで借りる動きなども出始めている一方で、業況の悪化を借入金等の補充で凌いできた中小企業にとっては支払利息の上昇による負担が一層重くなる可能性もあり、その動向を引き続き注視していくことが肝要である。