第23回『このミステリーがすごい!』大賞決定、受賞者は26歳の“現役漫画家”

株式会社宝島社が主催する第23回『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作が決定した。応募総数403作品の中から選ばれたのは、土屋うさぎ氏の『謎の香りはパン屋から』だ。土屋氏は1998年生まれの26歳で、現役の漫画家としても活動している。

『謎の香りはパン屋から』は、大阪府豊中市のパン屋を舞台に、大学生のアルバイト店員が日常の謎を解いていく連作ミステリー。選考委員からは「生き生きした会話とテンポのいいストーリーテリング、なにより全体を包む空気感が魅力的」などの評価を得た。

【著者:土屋うさぎ(つちや・うさぎ) プロフィール】
1998年8月、大阪府箕面市生まれ、東京都府中市育ち。大阪大学工学部応用理工学科中退。現在は漫画アシスタント兼漫画家。
2023年『あぁ、我らのガールズバー』で集英社・第98回赤塚賞準入選。同年『見つけて君の好きな人』で小学館・「創作百合」漫画賞佳作。2024年『文系のきみ、理系のあなた』で一迅社・第30回百合姫コミック大賞翡翠賞。『ジャンプSQ.RISE 2024 SPRING』に『ORB』掲載。

また、文庫グランプリには松下龍之介氏の『一次元の挿し木』と香坂鮪氏の『どうせそろそろ死ぬんだし』が選ばれた。『一次元の挿し木』は、ヒマラヤ山中で発掘された200年前の人骨と4年前に失踪した妹のDNAが一致するという謎から始まる。『どうせそろそろ死ぬんだし』は、余命宣告された人々が集まる別荘を舞台に、参加者の一人が不審な死を遂げるという新しい”館”ものミステリーだ。

大賞賞金は1200万円、文庫グランプリ賞金は200万円(均等に分配)で、受賞3作品は2025年1月から順次書籍化される予定だ。

『このミステリーがすごい!』大賞は、ミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的に2002年に創設された。過去の受賞者には、直木賞受賞者の東山彰良氏や、累計1080万部を突破した「チーム・バチスタの栄光」シリーズの海堂尊氏などがいる。また、受賞には至らなかったが将来性を感じる作品を「隠し玉」として書籍化し、岡崎琢磨氏の「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズや志駕晃氏の「スマホを落としただけなのに」シリーズなど、ベストセラー作品を多数輩出している。

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