JAXAとヒストリアが月面シミュレーション環境を共同開発

株式会社ヒストリアは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、ゲームエンジン「Unreal Engine 5」を用いた月面シミュレーション環境の構築に取り組むことを発表した。

本共同研究の目的は、月面環境を高い精度で広範囲に再現し、物理シミュレーションを含む統合的な月面シミュレーション環境を構築することだ。最初の取り組みとして、JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」が撮影した画像の再現を目指し、月面の凹凸形状や岩石分布、太陽光のライティングなどを考慮した月面環境を構築する手法の確立を目指している。

Unreal Engine 5で再現した別のロケーション
Unreal Engine 5で月面シミュレーション環境を構築している様子

ヒストリアは、過去に竣工前の新築マンションやビル、自動運転のための街、海上など、様々なロケーションをUnreal Engine上に構築してきた実績を持つ。同社は、実地試験が困難な環境ほどシミュレーション環境構築技術の価値が高まると考えており、今後発展が予想される宇宙産業において、月面シミュレーションの需要増加を見込んでいる。

ヒストリアは、Unreal Engine専門のソフトウェア開発会社として、ゲーム事業とエンタープライズ事業の2つの軸でソフトウェアの企画、開発を行っている。代表作には『Faaast Penguin』や『ライブアライブ』、『Caligula2』、『ジョジョの奇妙な冒険 ラストサバイバー』などがある。同社のノンゲーム専門部隊であるヒストリア・エンタープライズは、これまでに「Procedural City Generator」や「Custom Path Driving System」、「historia UE Annotation Tool」など、様々な研究開発に取り組んできた。これらの技術を活かし、今後の共同研究を進めていく方針だ。