住宅大手3社が協働、在来樹種で都市の生物多様性保全へ

旭化成ホームズ、積水ハウス、大和ハウス工業の3社は、2030年までにネイチャー・ポジティブを実現するため、在来樹種を用いた都市緑化による生物多様性保全効果のシナジーを実証した。株式会社シンク・ネイチャーの分析により、3社が連携することで都市のネイチャー・ポジティブの実効性を評価したのは、住宅メーカー間では初の試みだ。

分析の結果、3社がそれぞれ異なる特性を持つ様々な樹種を植栽してきたことで、個社別の取り組みに比べ生物多様性の豊かさが向上したことが明らかになった。3社の植栽樹木を統合すると、年間約350種43万本に及び、最も種数の多かった個社よりも約10%多いことが判明。さらに、種数の多さや均等性の高さを示す「個体数に関する種の順位曲線」で表現したところ、3社統合のグラフは傾きが緩やかで、様々な種が共存し植栽樹種の多様性が豊かであることが示された。

また、各社が特有のコンセプトで植栽を行うことで、生物多様性の多面的な要素を効果的に再生できることも分かった。旭化成ホームズの「まちもり」は生きものの生息地の提供、積水ハウスの「5本の樹」計画は餌資源の提供、大和ハウス工業の「みどりをつなごう!」は周辺地域での生息環境の再生など、それぞれが生物多様性に必要な異なる要素を持っている。

今回の実証により、企業間によるネイチャー・ポジティブの実現に向けた共創の可能性が示唆された。3社は、より多くの企業や団体に在来樹種を中心とした取り組みに賛同を得るため、住宅・不動産業界に対し活動を広げていく方針だ。