GOYOHの評価スキームが国交省の不動産インパクト改修モデル調査事業に採択
社会的インパクト不動産プラットフォーム「REAL IMPACTs」を提供する株式会社GOYOHの評価スキームが、国土交通省が公募した「不動産のインパクト改修投資促進に向けたモデル調査事業」において採択モデルに選定された。専門家で構成される外部委員会の評価を経たもので、令和8年9月8日に同省より公表されている。東京都新宿区に本社を置き代表取締役を務める伊藤幸彦氏が率いる同社のプラットフォームは、大手金融機関との投融資フレームワーク連携や東京都 KING SALMON PROJECT での実証を通じて、すでに金融・行政・都市開発の現場で用いられている。
事業の背景と対象市場
「不動産のインパクト改修投資促進に向けたモデル調査事業」は、ESG等の社会課題に対応し社会的・環境的なインパクトを創出することでバリューアップを図る改修への投資促進を目的とした公募事業である。改修による不動産のインパクトを評価し、テナント、投資家、地域住民等のステークホルダーに効果的に訴求するスキームの提案が募集された。
ニッセイ基礎研究所・価値総合研究所「わが国の不動産投資市場規模(2025年)」(2025年12月)によると、日本の収益不動産は約352.1兆円、うち投資適格不動産は約222.1兆円と推計されている。本スキームが評価の対象とするのはこれらの不動産であり、収益不動産だけでなく公共施設にも同じ枠組みを適用できる。
脱炭素に関しては、不動産の脱炭素移行リスクを評価する国際的な指標であるCRREMなどの枠組みを通じて投資判断に組み込む動きが進む一方、建物が地域や利用者に及ぼす社会的なインパクトは比較・検証可能な形で示されることが少なく、投資判断の材料になりにくい課題があった。本スキームは、既存ストックの老朽化が進むなかでインパクトの視点を加え、投資適格な不動産の裾野を広げることを目指している。
採択された評価スキームの特徴
採択された評価スキームは、地域・利用者・建物の3つの視点からデータを集め、改修施策のデータと重ね合わせて分析する。インパクトの特定から改修施策の選定、経済性の検討までを同一の基盤上で一貫して行う設計で、民間保有の建物と公共施設のいずれにも適用できる。
3つの視点は、「REAL IMPACTs」を構成する以下の3つのシステムがそれぞれ担う。
- 地域情報を収集する RISA(REAL IMPACTs Strategic Assessment)
- 利用者から直接データを取得する ImpactChecker
- 建物のサステナビリティ性能を評価する EaSyGo ValueDriver
これらを重ね合わせてインパクトを生み出しうる領域を定め、具体的な改修施策に接続して同じ基盤の上でKPIを設定・モニタリングする。提案の基盤となる方法論は、同社が令和8年8月に公開した「RITA(REAL IMPACTs Triadic Approach)」ホワイトペーパーとして体系化されている。
外部委員会の講評と想定される活用場面
国土交通省の公表資料において、外部委員会は本提案について「地域・利用者・建物の視点を合わせてインパクトを統合的に解析しようという考え方は、独自性があるとともに、横展開の可能性が高いことに加え、KPIについて測定方法、頻度等が具体的に示され、また、モニタリングにおいても一定の継続性及び客観性が担保されていることを高く評価した。」と講評している。
想定される活用の場面として、以下が挙げられている。
- 投資家・ファンド:投資判断の段階でインパクトを検討し、運用期間中のモニタリングに引き継ぐ
- オーナー・アセットマネージャー:改修の企画段階で、どの施策がどのインパクトに効くのかを検討する
- テナント企業:入居先の選定や、自社のサステナビリティ報告に使える情報を得る
- まちづくり、都市開発、再開発の事業者:計画段階で地域課題を踏まえたインパクトを設定し、事業評価に組み込む
- 行政、公共施設の所管部門:公共発注の改修において、地域政策との接続を整理する
今後の取り組み

株式会社GOYOHは本事業を通じて評価スキームの具体化と実在物件での適用検証を進め、改修の企画段階からモニタリング、経済性の検討に至る実務的な手順を整理して発信していくとしている。あわせて、賃貸住宅、オフィス、商業施設、ホテル、リゾート、物流施設、複合施設、スタジアム・アリーナ、駅・空港、行政施設等へのアセットタイプの拡大や、スマートシティ等の都市スケールへの拡張、金融との接続、データ連携の深化、海外物件における実証などを進める方針である。
本記事は株式会社GOYOHの発表および国土交通省の公表資料をもとに作成しました。
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